むし歯予防の第一歩はフッ化物入り歯磨き粉
むし歯予防の第一歩はフッ化物入り歯磨き粉
<2024年04月09日> ✑ むし歯・根の治療 ✑ 予防歯科
前回の記事では歯磨きだけではむし歯を防ぐことが難しいとお伝えしました。
すべての人にやってほしい予防法をお伝えします。
むし歯を防ぐには
①6歳以上の人は1,450ppmのフッ化物が入った歯磨き粉を、歯ブラシ全体につけて使うべし
②歯磨きは1日に2回は行うべし
③歯磨きが終わったら口をゆすぐのはなるべく控えるべし
今、世界的にむし歯が減ってきています。1)2)その一番の理由はフッ化物入り歯磨き粉の普及によるものとされており、それが世界のむし歯減少の救世主と考えられています。
3)むし歯のなりやすさにかかわらず、全ての人はl,000~l,500ppmの濃度のフッ化物入り歯磨き粉を使用するべきであり、むし歯を防ぎたい全人類が使うべきなのです。
繰り返しになりますが、むし歯にならないためには、「むし歯菌をゴシゴシ落とす」よりも「お薬であるフッ化物を適切な濃度と量で、いかに長時間作用させるか」のほうが大切です。(私も専門的教育を受けるまでは、むし歯はゴシゴシ磨いて予防すると思っていました。)
濃度と量については
4)6歳以上では1,400~1,500ppmFを歯ブラシ全体につけて使うのが適切
とされています。
日本で発売されている歯磨き粉では、フッ化物の実質的な上限濃度は1,450ppmなので、「6歳以上の人は一番濃いものを歯ブラシいっぱいにつける」のが大切です。
(6歳未満に関しては、別に記事を書く予定です。)
歯磨き粉に「フッ素1,450ppm配合」と書かれている商品もあるのですが、書かれていないときは、「フッ化ナトリウム(NaF)」や「モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)」、「フッ化第スズ(SnF2)」の濃度を確認してみてください。
歯磨きの回数については、5) 1日に2回磨く場合と3回磨く場合で、むし歯の発生に大きな差はなかったが、それ以下の回数ではむし歯のなりやすさに差があった
とされており、「むし歯予防に歯磨きは1日2回がコスパ最高!」なようです。
歯磨きをした後の「うがい」についてはどうでしょうか。
「ブクブク」「ガラガラ」ゆすぐのが習慣になっている人も多いのではないでしょうか。
これに関しては、歯磨き後にコップを使って口をゆすぐ子どもよりも、手を使って少ない水で口をゆすぐ子どものほうが、むし歯になる確率が低い5)とされており、フッ化物を口の中にとどめるため、できればゆすがない、ゆすぐとしても手を使い少量で1回に留めるのがよいようです。すぐに洗面所のコップは捨てましょう!(笑)
ゆすがない場合、歯磨き粉によって不快感が違いますので、ぜひ合うものを探してみてください。販売予定の歯磨き粉についてもいずれブログに書く予定です。
以上まとめると、「お薬(フッ化物)を長い時間、じんわり歯に染み込ませるイメージ」が大切になります。
次回は「フッ化物歯面塗布」「フッ化物洗口」についてお伝えします。
※歯科医療従事者の皆様へ
文献の解釈等不備がありましたら、yu.yoshie@gmail.comまでご指摘いただけますと幸いです。
【参考文献】
1)歯界展望2014年5月号:フッ化物の小児齪蝕予防効果に関する最新の科学的根拠
2)歯界展望2017年1月号:スウェーデンにおける長期経過追跡研究の源泉を追う
3)歯界展望2021年3月号:現代のう蝕治療1 ~病因論と非切削治療~
4)う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法【普及版】
https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/news/2023/news_230303.pdf
5)カリエスブック
5ステップで結果が出るう蝕と酸蝕を予防するカリオロジーに基づいた患者教育