「歯磨きだけ」ではむし歯は防げない? 今わかっているむし歯の予防法
「歯磨きだけ」ではむし歯は防げない? 今わかっているむし歯の予防法
<2024年04月01日> ✑ むし歯・根の治療 ✑ 予防歯科
「お前は歯を磨かないからむし歯になるんだ」
私が子どものときに、親から言われた言葉です。本当に歯磨きでむし歯を防ぐことができるのでしょうか。
この記事で伝えたいことは、以下の3つです。
①むし歯は予防することが可能である。
②しかし、「歯磨きだけ」では防げず「フッ化物」と「間食の管理」が大切である。
③むし歯予防において歯磨きは「フッ化物入り歯磨き粉」を歯に届ける手段として重要である。
※フッ化物は「フッ素」という呼び方で聞くことが多いかもしれませんが、このブログでは正式な「フッ化物」に表現を統一します。
前回、前々回は、私自身や医院の理念などについてお話してきました。第3回目である今回からは内容を変えて、患者さんにとって有用な情報(なるべく科学的根拠に基づいた情報)をお伝えしていきます。
最初はむし歯についてです。
なぜむし歯から始めるかというと、私が自分の歯のことで最も後悔しているのが、「正しくむし歯予防をしていなかったこと」だからです。
私は神経を取った歯が3本あります。幸い症状は出ていませんが、神経を取った歯は割れやすく、抜歯になるリスクが高くなってしまいます(詳しくはいずれブログで書きます)。
むし歯の数はだんだん減ってはいますが、歯を抜く原因の半分くらいは依然としてむし歯であり、40歳未満では第1位(歯が割れてしまって抜歯になったケースも、むし歯が原因のため、むし歯として計算)となっています。
むし歯は発症を予防したり進行を遅くすることが可能です。
歯磨きをすればむし歯を防げる。こんな風に思っている人も多いのではないでしょうか。
理論上は歯垢(むし歯の原因菌を含む細菌のかたまり)がなければむし歯にはならないのですが、歯磨きだけでむし歯を予防できるほど歯垢を落とすことは困難です。
そこで、フッ化物入り歯磨き粉を使ってのアプローチが必要になります。むし歯予防において歯磨きは、フッ化物を歯に届ける手段なのです。
実際の研究でも、「フッ化物なしの歯磨き粉を使用した歯磨きでは、むし歯の予防効果は認められない」という結果が出ています。
同様に必要なのが、食習慣の最適化です。間食の回数と内容をコントロールすることが、大切になります。
フッ化物と食習慣については、次回から詳しく説明していきます。
【参考文献】
・厚生労働省e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-015.html
・歯界展望2019年6月号 第2回永久歯の抜歯原因調査概要と主な結果
・歯界展望2021年3月号 現代のう蝕治療① ~病因論と非切削治療~
・歯界展望2021年10月号 「ライフステージ別の齪蝕予防と管理」
※歯科医療従事者の皆様へ
文献の解釈等不備がありましたら、yu.yoshie@gmail.comまでご指摘いただけますと幸いです。